広告代理店の売上ランキング10社【2026年最新】売上高と売上総利益で順位が変わる

結論

広告代理店のランキングは、「売上高」で並べるか「売上総利益」で並べるかで順位が変わります。売上高ではサイバーエージェント(8,740億円)が博報堂DYホールディングス(8,610億円)を上回りますが、売上総利益では逆転します(2,641億円 対 4,060億円)。売上総利益率は10社で19.5%〜90.1%と開いており、売上高の規模は事業規模をそのまま表しません。

出典: 各社有価証券報告書(原典PDF)/最終確認日: 2026年9月30日

広告代理店のランキングはなぜサイトによって順位が違うのか

理由は3つあります。

  1. 並べている指標が違う ── 売上高・売上総利益・営業利益・従業員数のどれで並べるかで順位が変わります
  2. 会計基準が違う ── IFRSを採用している会社は「収益」、日本基準の会社は「売上高」と科目名が異なります
  3. 決算期が違う ── 12月期・3月期・9月期・2月期が混在し、対象期間が最大半年以上ずれます

当サイトでは有価証券報告書の原典から数値を取り、どの指標で並べた順位なのかを明示します。以下はすべて連結の数値です。

売上高(収益)で並べた順位

順 会社 科目名 金額 会計基準 対象期
1 株式会社電通グループ 収益 1,435,245百万円 IFRS 第177期 2025年12月期
2 株式会社サイバーエージェント 売上高 874,030百万円 日本基準 第28期 2025年9月期
3 株式会社博報堂DYホールディングス 収益 861,003百万円 日本基準 第23期 2026年3月期
4 トランスコスモス株式会社 売上高 393,866百万円 日本基準 第41期 2026年3月期
5 株式会社ベクトル 売上高 63,794百万円 日本基準 第34期 2026年2月期
6 株式会社セプテーニ・ホールディングス 収益 30,309百万円 IFRS 第35期 2025年12月期
7 株式会社CARTA HOLDINGS 売上高及び営業収益 24,275百万円 日本基準 第26期 2024年12月期
8 株式会社Speee 売上高 16,435百万円 日本基準 第18期 2025年9月期
9 株式会社デジタルホールディングス 収益 16,155百万円 日本基準 第31期 2024年12月期
10 株式会社アドウェイズ 売上高 12,685百万円 日本基準 第25期 2024年12月期

※科目名は有価証券報告書の表記をそのまま使っています。CARTA HOLDINGSとデジタルホールディングスは後述の理由により1期古い数値です。

売上総利益で並べた順位

広告業界では売上総利益(粗利)で規模を比較する慣習があります。売上高に取引総額を計上するか手数料のみを計上するかが会社ごとに違うためです。

順 会社 売上総利益 売上高順位からの変動
1 株式会社電通グループ 1,197,530百万円 ―
2 株式会社博報堂DYホールディングス 406,037百万円 3位 → 2位
3 株式会社サイバーエージェント 264,051百万円 2位 → 3位
4 トランスコスモス株式会社 76,643百万円 ―
5 株式会社ベクトル 42,649百万円 ―
6 株式会社セプテーニ・ホールディングス 23,164百万円 ―
7 株式会社CARTA HOLDINGS 21,878百万円 ―
8 株式会社アドウェイズ 10,351百万円 10位 → 8位
9 株式会社デジタルホールディングス 10,015百万円 ―
― 株式会社Speee 科目としての開示なし 比較不可

※Speeeは有価証券報告書に売上総利益を科目として開示していないため、順位に含めていません(売上高16,435百万円から売上原価3,622百万円を引いた算出値は12,812百万円ですが、これは当サイトの計算値です)。

売上高と売上総利益で順位が入れ替わるのはサイバーエージェントと博報堂DYホールディングスです。売上高では130億円ほどサイバーエージェントが上回りますが、売上総利益では博報堂DYが1,419億円上回ります。サイバーエージェントの連結売上高にはゲーム事業とメディア&IP事業が含まれ、これらの原価構造が広告事業と違うためです。

売上総利益率を見ると何が分かるのか

売上総利益を売上高で割った比率を並べると、業態の違いがはっきり出ます。

会社 売上総利益率(当サイト算出)
株式会社CARTA HOLDINGS 90.1%
株式会社電通グループ 83.4%
株式会社アドウェイズ 81.6%
株式会社セプテーニ・ホールディングス 76.4%
株式会社ベクトル 66.9%
株式会社デジタルホールディングス 62.0%
株式会社博報堂DYホールディングス 47.2%
株式会社サイバーエージェント 30.2%
トランスコスモス株式会社 19.5%

※売上総利益÷売上高(収益)で当サイトが算出した値です。有価証券報告書に比率として記載されているものではありません。

この比率の違いは、収益をどの範囲で計上しているか(取引総額か手数料か)と、人件費を売上原価に含めるかどうかの差を反映します。会計基準も決算期も違うため、比率の高低で収益性の優劣を比較することはできません。業態が違うことを示す指標として見てください。

営業利益で並べるとどうなるか

会社 営業利益 親会社株主に帰属する当期純利益
株式会社サイバーエージェント 71,702百万円 31,667百万円
株式会社博報堂DYホールディングス 44,675百万円 16,775百万円
トランスコスモス株式会社 16,558百万円 13,084百万円
株式会社ベクトル 9,116百万円 5,109百万円
株式会社セプテーニ・ホールディングス 4,239百万円 3,491百万円
株式会社CARTA HOLDINGS 2,139百万円 1,688百万円
株式会社デジタルホールディングス 984百万円 1,341百万円
株式会社アドウェイズ 166百万円 △473百万円
株式会社Speee △686百万円 △951百万円
株式会社電通グループ △289,212百万円 △327,601百万円

※△はマイナスです。

売上総利益で1位の電通グループは、第177期に営業損失を計上しています。営業損失289,212百万円、親会社の所有者に帰属する当期損失327,601百万円です。

この営業損失は本業の赤字を意味しない

有価証券報告書に要因が明記されています。

第2四半期及び第4四半期に海外事業で396,074百万円ののれんの減損損失を計上したため、営業損失289,212百万円(前期は営業損失124,992百万円)、親会社の所有者に帰属する当期損失327,601百万円(前期は当期損失192,172百万円)となりました。

のれんの減損損失は、過去の買収で計上した資産の評価を切り下げる会計処理です。減損を除いた調整後営業利益は172,536百万円の黒字で、オペレーティング・マージンは14.4%と記載されています。

減損の対象は海外です。有価証券報告書の注記では、のれん減損396,074百万円の内訳がAmericas 299,656百万円、EMEA 96,418百万円とされています。

セグメント別に見ると日本事業は増益している

セグメント 収益 売上総利益 調整後営業利益 前期の調整後営業利益
日本 608,310百万円 495,592百万円 121,105百万円 114,184百万円
Americas 369,666百万円 315,746百万円 72,310百万円 75,161百万円
EMEA 338,401百万円 271,942百万円 33,832百万円 38,466百万円
APAC 112,199百万円 107,262百万円 2,720百万円 1,050百万円
消去/全社 6,668百万円 6,986百万円 △57,432百万円 △52,628百万円
連結 1,435,245百万円 1,197,530百万円 172,536百万円 ―

※第177期(2025年12月期)。IFRSの営業利益はセグメント別に配分して開示されていないため、セグメント利益として開示されている調整後営業利益を掲載しています。

日本のセグメント利益は121,105百万円で、前期の114,184百万円から増加しています。Americas・EMEAも調整後営業利益では黒字を維持しています。

一方で、減損損失の計上は前期(235,257百万円)から2期連続です。当期は402,563百万円で、金額は前期より拡大しています。

転職を検討する立場でこの数字を読むなら、「連結が赤字だから事業が縮小している」とは読めません。同時に、海外事業の評価切り下げが2期続いていることも事実です。どちらも有価証券報告書に書かれている内容で、片方だけを取ると実態からずれます。

あわせて、株式会社電通グループの単体は同期末時点で債務超過(△55,672百万円)と記載されています。単体では同じ要因により、関係会社株式評価損286,714百万円と貸倒引当金繰入額171,858百万円を計上しています。連結とは別の数値であり、混同しないよう注意してください。

従業員数で並べると別の順位になる

会社 連結従業員数 臨時雇用者(平均)
株式会社電通グループ 67,454名 記載なし
トランスコスモス株式会社 43,571名 28,112名
株式会社博報堂DYホールディングス 28,921名 11,878名
株式会社サイバーエージェント 8,150名 3,448名
株式会社セプテーニ・ホールディングス 1,674名 255名
株式会社ベクトル 1,571名 548名
株式会社CARTA HOLDINGS 1,242名 176名
株式会社アドウェイズ 1,041名 85名
株式会社デジタルホールディングス 970名 記載なし
株式会社Speee 661名 103名

売上高4位のトランスコスモスが従業員数では2位になります。売上高3,939億円に対して連結43,571名と、他社と人数の付き方が違います。同じ「広告・マーケティング関連」でも事業の中身が違うことが、この順位差に表れています。

最新期の数値が確認できない会社がある

2社については、1期古い数値を掲載しています。理由は上場廃止により最新期の有価証券報告書が存在しないためです。

  • 株式会社デジタルホールディングス ── 掲載は第31期(2024年12月期)。2026年3月19日付で上場廃止となり、第32期の年次有価証券報告書は確認できません
  • 株式会社CARTA HOLDINGS ── 掲載は第26期(2024年12月期)。2025年12月8日付で上場廃止となり、第27期の有価証券報告書は確認できません

当サイトでは推測で最新値を埋めません。確認できない期は「確認できない」と書きます。

会計基準と決算期が揃っていないことの意味

  • IFRS採用: 株式会社電通グループ、株式会社セプテーニ・ホールディングス(科目名は「収益」)
  • 日本基準: その他8社(科目名は「売上高」または「収益」、経常利益の開示あり)

営業利益の算定方法(特別損益の区分など)が基準によって異なるため、順位は目安として読む必要があります。決算期も12月期・3月期・9月期・2月期と分かれており、対象期間が最大で半年以上ずれています。

あわせて注意が必要な点として、株式会社セプテーニ・ホールディングスは第33期に9月期から12月期へ(15ヶ月の変則決算)、株式会社アドウェイズは第22期に3月期から12月期へ(9ヶ月の変則決算)決算期を変更しています。過年度との単純比較はできません。

売上規模と年収は連動しているのか

していません。売上総利益で2位の博報堂DYホールディングスの提出会社(持株会社)の平均年間給与は1,168万円ですが、対象は144名です。同じグループの株式会社博報堂は1,099万円(4,580名)、株式会社Hakuhodo DY ONEは583万円(2,690名)です。

売上規模と年収は別の軸として見る必要があります。年収については以下にまとめています。

年収の全体像は 広告代理店の年収一覧/会社別は 電通・博報堂・サイバーエージェント/働き方の指標は 42社の多様性指標/転職検討時の見方は 「やめとけ」は本当か/会社別は トランスコスモス・セプテーニ/非上場で年収が公開されていない会社は 電通デジタル・ADK をご覧ください。

まとめ

  • 売上高1位は電通グループ1兆4,352億円、売上総利益1位も電通グループ1兆1,975億円
  • サイバーエージェントと博報堂DYは売上高と売上総利益で順位が入れ替わる(8,740億/2,641億 対 8,610億/4,060億)
  • 売上総利益率は19.5%〜90.1%。売上高の規模は事業規模をそのまま表さない
  • 電通グループは第177期に営業損失289,212百万円を計上。要因は海外事業のれん減損396,074百万円で、調整後営業利益は172,536百万円の黒字。日本のセグメント利益は前期から増加している一方、減損は2期連続
  • 従業員数2位はトランスコスモス43,571名。売上高順位(4位)と一致しない
  • デジタルホールディングスとCARTA HOLDINGSは上場廃止により最新期が確認できない

よくある質問

広告代理店の売上ランキングで1位はどこですか?

株式会社電通グループです。第177期(2025年12月期)の収益は1兆4,352億円、売上総利益は1兆1,975億円で、売上高・売上総利益のどちらで並べても1位です。

売上高と売上総利益で順位が変わるのはどの会社ですか?

株式会社サイバーエージェントと株式会社博報堂DYホールディングスです。売上高ではサイバーエージェント8,740億円が博報堂DY8,610億円を上回りますが、売上総利益では博報堂DY4,060億円に対しサイバーエージェントは2,641億円で、順位が入れ替わります。

電通グループが営業損失なのはなぜですか?

海外事業でのれんの減損損失396,074百万円を計上したためです。有価証券報告書に要因が明記されており、内訳はAmericas 299,656百万円、EMEA 96,418百万円です。減損を除いた調整後営業利益は172,536百万円の黒字で、日本のセグメント利益は121,105百万円と前期の114,184百万円から増加しています。ただし減損損失の計上は前期から2期連続です。

広告業界はなぜ売上総利益で比較されるのですか?

売上高に何を含めるかが会社ごとに違うためです。本記事の10社の売上総利益率は19.5%から90.1%まで分布しており、売上高の規模がそのまま事業規模を表しません。ただし会計基準も決算期も揃っていないため、売上総利益でも厳密な横並び比較はできません。

従業員数が最も多い広告関連企業はどこですか?

株式会社電通グループの連結67,454名です。次がトランスコスモス株式会社の連結43,571名、株式会社博報堂DYホールディングスの連結28,921名です。

出典

最終確認日: 2026年9月30日/掲載した金額はすべて有価証券報告書の連結数値です。売上総利益率のみ当サイトの算出値であることを明記しています。本記事は各社の経営の優劣を評価するものではありません。